GENTOS(ジェントス)という企業は、日本国内企業のようでLEDライト関連を主に製造しているみたいです。
大体3000-5000円位の物が売れているようでホームセンターで販売されている1000円位のLEDライトと比べて明るさや防水性等値段なりにしっかりと作られているので肉体労働、山登り、キャプ等各方面で人気があるみたいです。
そんなGENTOS製のヘッドライトであるHLX-449という機種の「スイッチをひねってもメインのLEDライトが点灯しなくなったので修理できんか?壊れても良いから」という事を気軽に言われ託されたのでこちらも気軽に修理を引き受けた際の顛末についてです。一応直っては、います。
不具合箇所調査
HLX-449は、明るい白色メインLED、電球色?のサブLED1個、電球色?のサブLED3個が本体の筒状になっている蓋のような回転式スイッチで選択して点灯することができます。スイッチの反対側の回転する部分は、電池ボックスの蓋で防水使用です。
この時点では、スイッチの接点不良だろう程度に気軽に考えていたのです。
まずは、電池を入れようとして電池ボックスを取り出すと何か変です。破損しているようにしか見えません。ふ~む。白粉のような物は、なんでしょう?電池の液漏れとかなら危ないので触りたくないです。
少し気が重くなりましたが仕方が無いのでまずは、電池ボックスを修理します。幸い電池ボックスの破損個所は、ねじ止めできるようですので破損している円形の板をどこかから用意すれば良いだけだと解ります。
どこかといってもドラえもんでも飼っていなければ都合よく低価格で同じサイズの円形部品が手に入る訳がないので自分で作るにきまっています。
使用するのは、超高精度業務用コンパスカッター。
「コンパスを使う感覚で切れる」と記述があるので簡単に円形がカットできることでしょう。さすが業務用。左下に大創産業と書いてあるのは内緒です。
上段目盛りが半径Rで下段目盛りが直径φ。大体目盛りは、合っているようです。半径と直径の目盛りを見間違えるとあれれ?という事になります。必要なメモリ位置で止めてネジ締めできるので作業中に勝手に半径が変わる事は、無いと期待します。
低価格な割に替刃入れも付いています。さすが高級業務用。
何枚入っているかと開けてみると「替刃は、買えば?」と、言わんばかりに虚しい空間が広がっています。
後日同じ販売棚周辺を捜索しましたが替刃は、販売されていません。店員に聞いても無いようです。低価格なのだから本体ごと購入を迫るという事ですね。SDGsの世論に真っ向から反抗する姿勢のようです。
刃は、普通のカッターの刃と同じような材質に見えます。針は、先があまり尖って無いような気がします。
円形部品を切り出す為に用意したのは、プラモデルのいらない部品。厚さ2㎜程度のABS樹脂。「コンパスを使う感覚」という事なので同じ感覚で軽くクルリと回します。
時計回りが正方向ですがそちらに回してもスジがつくだけで「切る」というレベルに到達しないようなのでなんとなく逆回転してみたところスルスルと樹脂が削れて行きます。切り屑も糸状になって良い塩梅で削れている気がします。少し力が必要だけど。
スルスルと回す事10~15分程度。溝が結構深くなったので裏側を見ると円の跡が見えてきています。もう少しで切り出しできそうです。
その後、数回回したところ切り出せました。
円の真ん中に針の跡がついてしまいますが円形に切り出せています。普通のカッターでは、このように円形にならないのでコンパスカッターは、なかなか良い選択でした。ただ、刃先が知らない間に少し欠けていましたが。
1作業で使い捨てになりそうです。まぁ、本来は、紙を切る器具だしね。
切り出した端を面どりして電池ボックスのネジ穴相当部分にケガキ、ポンチを打ちます。ケガキ跡が数か所あるのは、コンパスカッターの直径と半径の目盛りを間違えて読んでいた為。切り出し作業で結構疲れてたからね♪
バイスでネジ穴開けをします。厚さ2mm程度なのでひどく斜めにならなければ大丈夫かと。
穴あけが終わって円形板が完成。ぱっと見は、良さそう。もっと綺麗に仕上げたい人は、CNCでも使ってください。
ネジが皿ネジだったので皿ネジの頭が板と同じ高さになるように穴より大きいドリル刃を使用してネジ穴の面取りをします。
電極を付けます。接着剤だけだと電池を抜き差しした圧力で外れそうなので電極の間にABSの板を溶着して補強しつつ電極の周りを接着します。接着剤は、3Mのスーパー多用途2ブラック。
接着剤が乾いたら電池ボックスに装着。ネジ穴の面取りが少し大きかった気がしますが良い感じに収まっていると思います。プラモデルの端材なので表面処理も良い感じ。傷では、無いです。
単4電池3本を装着したところ円形板のネジ穴間隔が少し狭かったようで1か所に歪みがあります。1mm以下なので許容範囲でしょう。当方の持ち物では、無いですしね。
本体に装填すると特に問題なく収まりました。これで通電確認ができます。
実際に実験すると当初聞いていたようにサブライトは、点灯しますがメインLEDのみが点灯しません。スイッチの接点不良だと思い回転式スイッチを外そうとするのですがこれがどうやっても外れません。
側面にスイッチ位置の絵柄が付いているドーム状の部分が外れそうな気がします。それを外すとネジがあるのでは、無いかという推測でその部分を外します。
しかし、ネジが付いているかのような樹脂の出っ張りが有りますがネジは、見当たりません。こういう構造にするのは、なんででしょう?コストアップな気がします。古いロットは、ネジ止めだった名残とかなら良いのですが。
色々実行した挙句回転スイッチは、爪で引っかかっているに違いないという推測の元渾身の力を込めて引っ張りますが外れません。
そこでテコの原理でLEDの根元を支点にして蓋をドライバで外側に外すという形で3か所位グイッを実行したところ外れました。
推測通り本体筒外側と回転スイッチの内側の出っ張りが引っかかって外れないようになっている構造でした。
スイッチの電極部分を見ると特に問題なさそうです。腐食も変形も無いです。
本体側の電極も綺麗な物です。
ただ、本体スイッチが付いていて筒先を見ると回転スイッチを引っ掛ける部分が一部割れています。外す際にベキッという音がしましたが割れ目がある部分は、反対側だったので当方の作業で創製された破損では、無いと強く思い込みます。元々持ち主が「スイッチが必要以上に回ってしまうことがあった」と言っていたのできっと以前からだったのです。そうに違うことがあるだろうか?いや、無い。
気を取り直し作業継続。
この割れ目の為にスイッチが斜めになり電極が浮いて通電しないのではないかと思いましたがその場合は、スイッチを横から押しながらONすれば通電すると思うのですがONしないのです。どうやらスイッチ部分の問題では、無さそうな雰囲気です。
このワレメは、後々問題になりそうなので溶着してスイッチを戻します。スイッチを回転させたところ問題が見受けられません。
これで黒ぶち眼鏡のマセガキ少年探偵が現れたとしても証拠は見つからず大丈夫♪
次に疑ったのがスイッチ部分からLED基板に電気を送る電極部分ですが金属の板なので特に問題が見当たりません。テスターで計測しても全て通電しています。
基板には、各モードのLEDを点灯させるために電極が出ています。1個づつ電気を流したところ全て点灯したので基板やLEDの損傷では、無さそうです。
ここまで来るとスイッチから伸びる電極と基板の接点が怪しそうです。本体を見ると上の方が割れています。下の写真だと下側。どうやらこの部分が割れているために基板が斜めになりメインLED用の電極だけ浮いて通電しないようです。下の画像だと中央右上の銀色四角。影になっている一番上の電極。筒についているので一番遠いです。
メインLEDに該当する左の電極に銅箔を巻いて電極を延長します。
組み立ててスイッチを回したらメインLEDモード点灯。修理成功です。
サブライト1個モードも点灯。
サブライト3個モードも点灯。
最後に
接点不良は、接点不良でしたがスイッチ以外の場所に電極があるのは、想定していませんでした。スイッチからコードを引っ張って来た方がコストを下げられそうですがジェントスは、修理などアフターサポートも充実しているらしいので修理/部品交換がしやすいように各ユニットが分離できる構造になっているのかもしれません。
持ち主に返したら「えっ直ったの?新しいの買っちゃったよ。」だそうです。
しらんがな。
この内容を動画にしています。興味のある方は、下からどうぞ。
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