ネジを外すならドライバを使えばよい。
では、ネジ頭の溝が削れてなめてしまったネジは、どうしたら良いのだろうか?を考えてみた際のお話です。
今回対象となる破損したネジは、M1.4の小さなネジです。ネジ頭の溝が綺麗に削れています。(ネジ止め剤がネジ頭の溝にも塗られているので溝にドライバの先が入らずカッターでネジ止め剤を除去したが全部は取れなかった)
なめたネジを外す為に知恵を絞る
ネジを外す為にいくつか方法を考えてみたところ下のような物が速攻思いつきます。
- ネジザウルスのような特殊なネジ外し用のペンチを使用する
—→ 今回は、頭が窪みに入っているのと皿ネジなので頭を抓めない。ボツ。 - テレビ等で偶にウンチク番組が放映されていると出て来るのがネジの頭に輪ゴムをあててドライバで押し付けながら回すという物
—→ 今回は、ネジの頭が小さいので摩擦が小さすぎて回らない。ボツ。 - ネジの頭に粘度の高いグリスのような物を塗布して回すという製品
—→ ネジの頭が小さいので摩擦力が低く全然まったく完璧に無理、無駄な出費。ネジが大きくても無理な気がする・・・。ボツ。 - ネジの直径よりも細いドリル刃でネジに穴を開けて直径が合いそうな逆ネジ等で頑張って回す。
—→ ネジの頭に対して直角に穴あけが難しいのとこんな細い逆ネジが手に入らない気がするのでボツ。ネジを破壊するのも同じ理由でやりたくない。ボツ。 - ドライバの先が特殊でネジの頭に溝を再作製できるドライバを使用する
—→ 少々お高いので無理。そしてネジ頭に当てて金づちで叩くので精密機器には、よろしくない。ボツ。 - ショックドライバ(インパクトドライバという業者も?電動の物とは、別)を使用して叩きながら回す。
—→ 精密機器に絞めてあるネジなので衝撃は、ダメよ~ダメダメ。ボツ。 - ハンドルーター等で細い刃先を使用してネジ頭の溝を作り直す。
—→ 溝を掘れるだけのネジ頭面積がない気がするのとこの為だけにそれなりの金額を使用するのは、もったいない。ボツ。
直ぐに思いつく方法は、やはりよろしくないようです。
で、良い方法が見つからずしばらくお蔵入りしていたのですが同じような境遇に遭遇する人がそれなりに居るようで通販でそのままのフレーズで検索したらなにか簡単に見つかりました。
なめた精密ネジはずし
国産ドライバメーカーとして有名な株式会社兼古製作所からAnexブランドで販売されている「なめた精密ネジはずし」という商品です。釈然としない商品名ですがこれ以上無いという位何に使用するのかが分かりやすい商品名です。
「ネジトル」、「ねじとれ~る」、「一発抜きます」等企業で年季の入った偉いダジャレ好きなおじさんが熟慮を重ねて一周回って安易にひねり出したのだろうなと思うような商品名よりは、正直で良いかもしれません。
パッケージを見ると一般的な6.35mmの六角のビットとそのビットを差し込めるハンドルが付いています。ビットとハンドルの別売りパッケージも存在します。対応のネジサイズは、M1~M2.6です。
裏面には、使用方法。当方は、特に読まずになんとなくどういう風に使用したら良いか考えて使用しましたがネジを回す際に大事なことを余り考えた事がない方は、使用方法を良く読んでできればそれがどういう意味なのかも考えてから使用した方が良いと思います。とにかくネジが締まっている箇所が壊れない程度の最大の力でネジ方向にこの商品を押し付ける事がとてつもなく重要です。
押し付ける力8、回す力2となっていますが押し付ける力95%で良いと思います。
皆大好き。MADE IN JAPAN。
最近は、中国で製造した部品を日本で組み立ててもMADE IN JAPANなのでどこまで信じて良いのか分からない称号ですが品質が良ければどこで製造していても問題ないのです。この商品は、刃先が曲がったりせずにキッチリしていました。
ビットの先は、ドリルのように螺旋が切られていて先は、2枚の刃のようになっています。この刃先を元々ネジ頭の溝があったであろう箇所にグリグリ押し付けて食い込ませてから回すというアイディアです。
当然ネジも硬い金属で作られていますので少し押したからと言って刃先が食い込むわけでは、ありません。刃先が食い込んでいない状態で回してしまうとネジ頭を更に削る事になります。
当方が使用した経験から行くと最初ネジ頭にグリグリして刃先が食い込んだのを感じながら少しずつクイッ、クイッとネジの外れる方向に1度~2度程度回すようなイメージで回転方向に力を与えてネジが回るかどうかを確認します。
回るような感触を感じたら最初の半回転~1回転までは、同じ要領で強くネジ方向に力を与えながらクイッ、クイッを続けます。この際本当に回っているのか見分けられるようにマジックなどでネジ頭に印を付けて置くと解りやすいと思います。
回り始めたら後は、気を抜かずにゆっくりとネジが抜けるまで押し付けながら回して行けば外れます。ネジ頭の溝が無いので再利用は、やめた方が良いです。
最後に
太めのネジやボルト等は、逆ネジドリル等を使用すれば抜けることが多い事は、知っていましたが精密ドライバで回すような細いネジは、面積的に無理なのだと思っていました。しかし、しっかりとした対策用の工具が世の中には、存在していました。
市販されているという事は、それだけ需要が多いという事なのだと思いますからネジをこじってしまう仲間は、多いようです。
確かに「ネジが有ったら回したくなるのが人情」というような人は、別にしても眼鏡のネジ調整、振動で緩んだ時計のネジを締めようとした等必要に迫られてネジを回したら破損した等私生活でネジを破損する可能性は、意外にありそうです。
価格も当方が購入した際は、1000円から1200円(2022年1月)程度でしたのでネジ一本のせいで高額な商品を買い直す必要が無くなると思うと割安かと思います。
当方が購入した際は、「無理だと思うけど試してみるか」という評価の低い所から手に入れた道具だったので余計評価が高くなってしまったという商品。最近購入した工具の中では、最高の評価。
とりあえず精密機器メーカーは、ネジ頭の溝にネジ止めとか塗るなよな。と、いう事です。
この記事の作業内容を動画にしたものがあります。興味のある方は、下からどうぞ。
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